「だし」の歴史と由来
「だし」は、山形の村山地方を中心に食べられてきた、野菜を生のまま手軽に食べられる夏の山形県の定番料理です。郷土料理です。山々に囲まれた村山地方は、夏は高温多湿で非常に暑いため、食欲が落ちやすい時期に、水分が多くてさっぱりとした夏野菜を使った「だし」が重宝されてきました。また、農繁期のスピード料理としても親しまれてきたと言われています。
「だし」という名前の由来には、出汁のようにほかの食材を引き立てることから、包丁で野菜を細かく切り“出す”ことから、また野菜を刻んで味付けしただけで手早く食卓に“出す”ことからなど、諸説あります。
「だし」のレシピは“100軒の家があれば100種類の味”があるといわれていて、非常に多彩です。基本の具材はナス、きゅうりですが、青じそやミョウガ、ねぎを入れたり、玉ねぎを加える家庭もあります。また、山芋やオクラ、納豆昆布(刻み昆布)などを混ぜてねばりを出すこともあります。調味料は醤油が基本ですが、めんつゆや出汁入り醤油を使ったりもします。
「だし」の作り方
「だし」の作り方は、家庭によって様々ですが、基本的には以下の通りです。
きゅうり、ナス、ミョウガ、生姜などの夏野菜を細かく刻む。
醤油、鰹節、砂糖などで味付けする。
冷蔵庫で冷やして完成。
お好みで、オクラや納豆昆布、梅干しなどを加えても美味しくいただけます。
食べ方
新鮮な夏野菜を細かく刻んでつくった「だし」は、ご飯にのせるほか、冷奴にのせたり、そうめんやそばのつゆに薬味として入れたりと、食べ方は多種多様です。飲食店では「だしパスタ」や「だしピザ」、カルパッチョに「だし」をのせるなどアレンジメニューを提供するところもあります。子ども向けにはとうもろこしや枝豆を入れると好評です。酒の肴にそのまま食べることもあります。