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犬の宮・猫の宮

(いぬ ねこ みや)

人と犬猫の絆を繋ぐ特別な場所

山形県高畠町高安にある犬の宮・猫の宮は、全国でも珍しい犬と猫を祀る神社です。ペットの愛犬・愛猫の供養と健康祈願のため、写真や首輪を奉納する参拝者が多く、毎年7月には全国ペット供養祭が開催されます。犬の宮参道には戸川幸夫の「高安犬物語」の文学碑があります。

高安地区と犬・猫の縁

高安地区は、宮城・福島両県と県境を接する山形県南部の高畠町の山あいにあります。

犬の宮は、和銅年間(708~715)、都の役人に化けて年貢の取り立てで村人を苦しめていた大狸(おおだぬき)を、村人が放った犬2匹が退治し、その後命を落とした2匹を、お告げにより村の鎮守として祀ったのが由来とされています。

猫の宮は、奈良~平安時代にまたがる延暦年間(782~806)、犬に殺された大狸の仕返しをたくらんだ大蛇を、観音様から授かった三毛猫「玉」が退治したが、猫も死んでしまい、観音堂を建て猫を供養したという伝説から建てられました。

全国ペット供養祭

1988年(昭和63年)から毎年7月第4土曜日に犬の宮前で全国ペット供養祭が行われます。これは、両社にペットの遺品を奉納して供養を願う人々が多かったことから始まりました。別当寺院住職の読経により、全国のペットと参列希望者のペットの供養が行われます。

高畠町犬猫やすらぎの里公園

犬猫用の納骨堂と園路、東屋(休憩施設)、メモリープレート表示壁があります。納骨堂は高畠石を活かした石造りで、ペットの焼骨を合葬式で収蔵し、犬用と猫用の納骨口を持ち、一定期間経過後は焼骨は供養した上で自然に返します。納骨口は犬と猫の形をかたどったノブが付いているのが特徴です。

犬の宮

「チンは高安犬としての純血を保っていた最後の犬だった」という書き出しで始まる『高安犬物語』(動物作家:戸川幸夫氏)の直木賞受賞作の舞台となったところです。安産と無病息災の神としても知られ、愛犬の健康と供養に訪れる人も多いです。

由来
和銅年間(708年〜714年)、都から役人が来て村人を集め、「この里は昔から年貢も納めず田畑を作っていたが、今年から年貢の代わりに毎年、春と秋には子供を差し出すように」と言いました。村では大変悲しみ困っていました。ある年、文殊堂帰りの座頭が道に迷い、一夜の宿を頼んだところが、今年の人年貢を差し出す家でした。

ある夜、役人が現れ、ご馳走を食べながら「甲斐の国の三毛犬、四毛犬にこのことを知らせるな」と何回も念を押して帰るのを耳にした座頭は、甲斐の国に使いをやり、三毛犬と四毛犬を借りてこさせ、いろいろ知恵を授け村を去りました。

村人は早速役人を酒席に招き、酔いが回ったところに2匹の犬を放ちました。大乱闘の後、座敷を覗いてみると、血の海の中に子牛のような大狸が2匹と多数の荒狸が折り重なって死んでいました。そばには三毛犬、四毛犬も息絶え絶えに横たわっていました。村人は必死に手当てをしましたが、とうとう犬は死んでしまいました。

この村を救った犬を村の鎮守とせよとのお告げにより、祀ったのが現在の犬の宮といわれています。

猫の宮

猫の宮は昔、養蚕の神として信仰されていました。猫などのペットの神としても知られ、ペットの健康祈願や供養に訪れる人も多いです。

由来
延暦年間(781年〜805年)、高安村に信心深い庄右衛門とおみね夫婦が住んでいました。2人には子供がなく、猫を心から可愛がっていましたが、次々と病死してしまいました。丈夫な猫が授かるように祈っていたある夜、観音菩薩が夢枕に現れ、「猫を授けるから大事に育てよ」とのお告げがありました。翌朝、庭に三毛猫が現れ、夫婦は大いに喜び、「玉」と名付けて大切に育てました。玉も夫婦にますますなつき、村中のネズミを捕るのでたいそう可愛がられていました。

玉は、おみねの行くところどこへでも付いて行きました。特に便所に行くと天井を睨み、今にも飛び掛からんばかりに耳を横にして唸っていました。おみねは気持ち悪く思い、夫に話しました。夫が妻の姿をして便所に行くと、玉は同じ素振りをしました。庄右衛門はいよいよ怪しく思い、隠し持っていた刀で玉の首を切り落としました。すると、首は宙を飛び、屋根裏に潜んでいた大蛇に噛みつきました。

この大蛇は、70数年前に三毛犬、四毛犬に殺された古狸の怨念の血をなめた大蛇でした。玉が守っているため手出しできなかったのです。この事を知った夫婦は大いに悔み、村人に伝え、村の安泰を守ってくれた猫の遺体を手厚く葬り、堂を建て春秋2回の供養を行いました。

高安犬物語

小説家、児童文学作家の戸川 幸夫が1954年に発表した、旧制山形高(現山形大)時代にニホンオオカミを探し、クマ猟に使われた高安犬に出会った体験を元にした作品です。絶滅寸前の高安犬「チン」と人との交流を描いた物語です。第32回直木賞受賞作。

戸川幸夫が、かつて飼育していた高安犬の実体験をもとに、一部フィクションを交えて犬との交流を描いた半自伝的小説で、動物小説として日本初の本格的な動物文学と呼ばれました。

Information

名称
犬の宮・猫の宮
(いぬ ねこ みや)
住所
山形県高畠町高安
アクセス

高畠駅から車で15分

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