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肘折温泉

(ひじおり おんせん)

心もじんわりほっとする情緒ある温泉

肘折温泉は、昔ながらの湯治場の雰囲気を今も残す温泉街です。源泉かけ流しの上質な湯とゆったりした素朴な町並みが魅力です。温泉街の真ん中にある旧郵便局舎は、昔ながらの町並みに突然現れるハイカラな建物で、レトロな雰囲気が写真映え間違いなし。名物の朝市では、旬の山菜や野菜がずらりと並び、早起きして地元のお母さん達とのほっこりした会話を楽しむのもおすすめです。

肘折温泉は、「肘折カルデラ」と呼ばれる凹地の東端に位置します。豪雪地帯であり、冬季の積雪量は4メートルを超えることもあります。豪雪地帯だからこそできる冬のイベントを多数開催しています。

豪雪地帯の肘折温泉

山奥に位置する肘折温泉は、積雪が3mを超える全国屈指の豪雪地帯として有名です。冬には雪壁にろうそくの灯が灯る幻想雪回廊(1月下旬~2月の週末開催)や、スコップで雪を掘って競争する地面出し競争(2月下旬)など、多数のイベントが開催されます。3月中旬には巨大雪だるま「おおくら君」のお目見えや冬の花火大会なども行われます。また、大雪になればなるほど宿泊料金が割引になるキャンペーンや、降雪量が最高積雪量を超えた場合には1泊分宿泊料が無料になる特典もあります。

温泉の泉質と効能

肘折温泉の泉質は、ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩温泉です。高い保温効果や美肌効果、血管拡張効果など、多彩な効能があります。共同浴場や旅館の湯めぐりを楽しみながら、体調に合わせた温泉療養をすることもできます。

温泉街の風景

温泉街には旧肘折郵便局舎や足湯、共同浴場などがあり、ノスタルジックな雰囲気が漂います。温泉街の商店では、ほていまんじゅうや肘折カルデラサイダーなどのお土産も人気です。

肘折温泉名物の朝市は、朝5時から始まり、地元のおばちゃんたちが新鮮な野菜や山菜、果物などを販売します。旅館の浴衣に下駄履きのお客さんとのほのぼのとした会話が楽しめます。長期滞在すればするほど「肘折温泉郷」の魅力に惹かれる不思議な場所です。

歴史と由来

肘折温泉は807年に開湯され、2007年には開湯1200年を迎えました。「肘折」という名の由来には、肘を折った老僧がこの地の湯に浸かって傷が癒えたという説があります。湯量豊富で霊験あらたか、風光明媚な湯治場として広く愛されています。

肘折温泉の開湯は、平安時代の西暦807年(大同2年)に遡ります。伝説によれば、豊後国出身の源翁がこの地を訪れた際、老僧(地蔵権現)より肘を折った際に治療した温泉を教えられたことが温泉の始まりとされています。この伝説に由来して肘折温泉と名付けられました。折口信夫は、銅山川の曲折した地形から名付けられたと推測しています。また、1910年(明治43年)の古書には「聖居(ひじりおり)」という記述も見られます。

江戸時代には、肘折温泉は月山や出羽三山への参道口として多くの参詣客を集めました。この地には天台宗の寺院「阿吽(あうん)院(片見氏)」が建てられました。現在も月山の登山口として「肘折口」があり、登山道が整備されています。また、葉山修験の拠点としても真言宗の寺院「密蔵院(神野氏→横山氏)」がありました。肘折温泉は出羽三山、葉山両山への参道口として多くの宿坊がありました。

肘折地区には老僧(地蔵権現)が住んでいたと伝えられる岩窟「地蔵倉」が聖地としてあります。

阿吽院が別当(祀り人)を務めたのは1611年(慶長16年)頃までで、以降は烏川へ移転しました。その後、密藏院の神野氏が別当を務め、現在に至ります。密藏院は現在の丸屋旅館の位置にありました。明治期には宿坊「豊後屋」も営みましたが、1902年(明治35年)に肘折から転居しました。その後、亀屋旅館を営む横山氏が密藏院を引き継ぎ、現在も別当を務めています。

肘折温泉を訪れた著名人には、斎藤茂吉、板垣家子夫(いたがき かねお)、河東碧梧桐、結城哀草果、鹿児島寿蔵、結城健三などの俳人・歌人がいます。戊辰戦争の際に肘折を訪れた桑名藩兵、後の日本陸軍大将・立見尚文も有名です。また、永松鉱山を経営した古河鉱業副社長、後の内閣総理大臣・原敬も訪れました。

明治期からは木地挽物やこけしが名産品として作られてきました。肘折木地の始まりは、現・柿崎伝蔵旅舘の先祖である初代柿崎伝蔵が江戸末期に宮城鳴子に木地修行に行き、1877年(明治10年)頃に技術を持ち帰ったことに始まります。その後、多くの弟子や流れ木地師の定住により大産業に発展しました。カネヤマ商店、横山仁右衛門商店、旧・尾形商店などがそれぞれ専属の木地師を抱え、技術を磨きました。この過程で肘折こけしも系統の一つとして「肘折系」とされました。かつては多くの肘折系こけし工人がいましたが、現在当地区内の工人数は1名です。

1989年(平成元年)10月16日、環境庁告示第48号により、肘折温泉郷は黄金温泉、石抱温泉とともに国民保養温泉地に指定されました。1991年(平成3年)には、国民保養温泉地の中から特に健康増進・保険的利用が可能な温泉地のみが選ばれる国民保健温泉地に指定されました。山形県では肘折温泉と碁点温泉の2ヶ所が指定されています。

観光スポット・イベント

地蔵倉
縁結び、安産、商売繁盛の聖地
開湯縁起にまつわる老僧が住んでいたと伝えられる洞窟に約600年前に開創された霊場です。紙を捻って岸壁の孔に通すと良縁に恵まれると信仰を集めています。

小松淵
大蛇伝説が伝わる、見事な渓谷
新庄藩の小山八郎が大蛇を退治した伝説が残る銅山川の名勝・小松淵は、肘折いでゆ館のすぐそばにあり、新緑や紅葉の季節には絶景が広がります。

肘折希望大橋
全長240mに及ぶ国内最大級の長さ
2012年の春に崩落した県道に代わって建設され、2013年11月に完成しました。肘折温泉への入口として新たなシンボルとなっています。S字を描く形状と巨大な橋脚が魅力です。

旧郵便局舎
昔ながらの温泉街のハイカラな建造物
昭和12年に建てられた旧郵便局舎は、温泉街の中心にあり存在感を放っています。現在はミニコンサートなど、各種イベントの会場としても活用されています。

秋葉山の石碑
肘折温泉を火災から守っている石碑
20年間に3度の火災に見舞われたことから、火伏の神・秋葉山神社の石碑が建立されました。石は小松淵から運び、碑文は仙台市瑞鳳寺の和尚に依頼されました。

湯坐神社
開湯当時から信仰を集める神社
地蔵倉とほぼ同時期に創建された湯座神社、別名・薬師神社は、秋葉山碑を横切った小高い丘に鎮座しています。毎年8月20日には奉納相撲大会が盛り上がります。

肘折ダム
水の力で人を潤し、暮らしを支える
昭和27年に造られた砂防ダムで、温泉街の奥にあります。周囲は源泉公園として整備され、水音や景観が人々を和ませてくれます。国の登録有形文化財に指定されています。

源泉ドーム
湧き出る源泉、心地いい腰湯
銅山川の上流にある源泉公園には、石造りの源泉ドームがあり、ガラス窓から源泉が湧き出る様子を見られます。ドームは温かく、周囲の椅子に座ると腰湯が楽しめます。

初恋足湯
肘折ダムを眺めながら
肘折ダムのすぐ隣に設置された足湯で、銅山川の清流と肘折ダムを眺めながら休憩できます。

四ヶ村の棚田
「日本の棚田百選」に選ばれた美しい棚田
葉山や月山などの山々に囲まれた緩やかな傾斜地に広がる棚田で、「日本の棚田百選」に選出されています。夏には「四ヶ村棚田ほたる火まつり」が開催されます。

肘折幻想雪回廊
豪雪地ならではの雪壁に灯る火
全国屈指の豪雪地帯、肘折ならではのイベントで、3mを超える雪壁にろうそくの火が灯る幻想的な雪回廊です。冬の雪あかりの散策をお楽しみください。
時期: 1月下旬〜2月の週末

Information

名称
肘折温泉
(ひじおり おんせん)
リンク
公式サイト
住所
山形県大蔵村肘折温泉
アクセス

JR新庄駅から村営バスで約55分、車で約40分
山形空港から観光ライナー(タクシー)で約1時間20分(2日前まで要予約)
銀山温泉より「銀山肘折ライナー(定額エリア運賃・タクシー)」にて1時間15分(尾花沢タクシー2日前までの予約)

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