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旧矢作家住宅

(きゅう やはぎけ じゅうたく)

江戸時代中期の農家の暮らしを今に伝える、雪国の古民家

旧矢作家住宅は、山形県新庄市北部の泉田地区にある、江戸時代中期の農家住宅です。最上地方における伝統的な農家建築の姿を今に伝える貴重な建造物で、昭和44年(1969年)に国の重要文化財に指定されています。

大きな特徴は、雪の多い日本海側の地域で発達した「片中門造り」です。住居の一部に馬屋を組み込んだ独特の構造で、秋田・新潟・山形などの雪国に多く見られます。

館内には囲炉裏や農具などが残されており、実際に建物の内部を見学することで、江戸時代の農家がどのような住まいで暮らしていたのかを身近に感じることができます。4月から11月まで一般公開されています。

江戸時代中期に建てられた農家住宅

旧矢作家住宅は、建物の構造や様式から、江戸時代中期、18世紀中頃に建てられたものと推定されています。最上地方における典型的な農家住宅の一つであり、当時の農村の生活と建築技術を知るうえで重要な建物です。

もとは新庄市萩野地区に建っていました。その後、19世紀初めに中門部分が建て替えられ、明治中頃と大正初期にも改造や増築が行われました。

その後、新庄市が住宅を譲り受け、昭和50年(1975年)に解体・移築。現在地で復元整備され、古い時代の姿をできるだけ伝える住宅として保存されています。

雪国に適した「片中門造り」

旧矢作家住宅は、馬屋部分を中門として建物の正面に張り出させた「片中門造り」の住宅です。県内に残る同形式の建物の中でも、特に古い形式をよく残しているとされています。

住居と馬屋が一体となった構造は、厳しい冬を過ごすための工夫でもありました。雪の多い地域で暮らしてきた人々の生活の知恵が、建物そのものに表れています。

暮らしが見える特徴的な間取り

建物の内部には、当時の農家の生活を伝える特徴的な空間が設けられています。土間や馬屋、作業場、台所、居間、寝室などが機能的に配置され、農作業と日常生活が一体となった住まいの構造を見ることができます。

土間・馬屋・作業場

住宅内には土間のほか、2か所の「まや(馬屋)」が設けられています。また、屋内の中央には「にわ」と呼ばれる作業場があり、農作業に関わるさまざまな仕事を行う場所として使われていました。

建物の奥には「ながし」と呼ばれる台所が配置されています。農作業の場と生活空間が近接した間取りから、当時の農家の暮らしぶりをうかがうことができます。

囲炉裏のある「えんなか」

建物の中心には「えんなか」と呼ばれる居間があります。床板には囲炉裏が切られており、家族が集まる生活の中心的な場所だったと考えられます。

「えんなか」には天井がなく、屋根の構造がそのまま見える造りになっています。囲炉裏を囲みながら過ごした昔の農家の生活を想像できる、旧矢作家住宅を象徴する空間の一つです。

「上のでん」と「下のでん」

居間の「えんなか」より一段高い場所には、「上のでん」と「下のでん」と呼ばれる寝室があります。床が高く、天井も設けられており、居間とは異なる落ち着いた空間となっています。

こうした部屋の配置からも、農家住宅における生活空間の使い分けを知ることができます。

豪雪地帯ならではの「融雪池」

住宅の裏手には、雪国の暮らしを象徴する冬場の融雪用の池が設けられています。

最上地方は冬に多くの雪が降る地域です。屋根から下ろした雪などを処理するための設備が住宅の周辺に設けられており、厳しい積雪環境に対応してきた昔の人々の知恵を見ることができます。

伝統的な構造と意匠

旧矢作家住宅は、建築構造にも注目すべき特徴があります。建物は上屋と下屋から構成され、上屋柱がほとんど省略されずに残されている点が大きな特徴です。

上屋柱は、座敷にあたる「下のでん」を除き、断面が多角形になるよう加工されています。斧や手斧によって仕上げられた柱は、単なる構造材としてだけでなく、建物の意匠性を高める役割も果たしています。

こうした構造や仕上げは、旧矢作家住宅が県内に残る片中門造りの農家住宅の中でも、古い建築技法をよく伝える建物であることを示しています。

旧矢作家住宅の主な構造

桁行(間口):約16.4m
梁間:約7.8m

本体は寄棟造で、北面には下屋が付属しています。正面には桁行約5.3m、梁間約5.8mの中門が張り出し、入母屋造となっています。西側には便所が付属し、屋根は茅葺です。

江戸時代の農家の暮らしを体感できる文化財

旧矢作家住宅は、単に古い建物を見るだけでなく、江戸時代の農家がどのような環境で暮らしていたのかを具体的に感じられる貴重な文化財です。

囲炉裏のある「えんなか」、農作業を行った「にわ」、家畜を飼育した馬屋、そして豪雪に対応する融雪池など、建物の随所に雪国の農家の暮らしと生活の知恵が残されています。

新庄を訪れた際には、歴史ある茅葺き屋根の外観だけでなく、ぜひ内部にも足を運び、江戸時代から受け継がれてきた最上地方の農家住宅の姿をじっくりと見学してみてはいかがでしょうか。

建築と歴史

旧矢作家住宅は、その構造から江戸時代中期(18世紀中期)に建てられたと推定される、最上地方の典型的中層農家の住宅です。もとは新庄市萩野地区内に建っており、19世紀初めに中門部分の建て替え、明治中頃と大正初期に改造増築が加えられましたが、新庄市が譲り受けてから1975年に解体の上、現在地へ移築して、古い形に復元されました。

この住宅は馬屋中門を突き出した片中門造りで、県内における同じ型の中でも最も古式豊かな構造を持つとされています。

構造と意匠

住宅の形態は、日本海側地域によく見られる片中門造りで、馬屋部分が前に張り出す構造です。間取りは、土間、まや(馬屋)2箇所、「にわ」と呼ばれる作業場が屋内の中心にあり、奥には「ながし」(台所)があります。

建物の中心には「えんなか」と呼ばれる居間があり、床板には囲炉裏が切られ、天井はなく、屋根材が張り出されています。「上のでん」、「下のでん」と呼ばれる寝室があり、「えんなか」より床が高く天井が張られています。庭の裏には豪雪地帯の特徴である冬場の融雪用の池が見られます。

上層下屋からなり、上屋柱がほとんど省略されていない点が注目されます。上屋柱は座敷(下のでん)を除き、断面多角の材を斧または手斧で仕上げてあり、意匠的効果も高めています。このような意味で、旧矢作家住宅は県内における片中門造りの中で最も古式な構造手法を示しています。

桁行(間口): 16.4m
梁間: 7.8m
構造: 寄棟造、北面下屋附属、中門 桁行5.3m、梁間5.8m、正面入母屋造、西面便所附属、茅葺

Information

名称
旧矢作家住宅
(きゅう やはぎけ じゅうたく)
住所
山形県新庄市泉田往還東460
アクセス

JR新庄駅より車で10分

新庄

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