三羽のうさぎを見つけると願いが叶う
本殿の裏側には「三羽のうさぎ」の彫刻が隠されています。これをすべて見つけると願いが叶うとされています。二羽目までは授与所で場所を教えてもらえますが、三羽目は自力で探す必要があり、場所を教えるとご利益がなくなるといわれています。
大鳥居と大イチョウ
参道の入口には大鳥居があり、参道には樹齢850年の大イチョウが力強くそびえ立っています。県指定文化財で天然記念物である大銀杏は、古代、東北地方を揺るがした前九年の役の際、源義家が当社に必勝を誓願し、その霊験により役を平定した後に手植えされたと伝えられています。
風格漂う拝殿と本殿
お御坂は46段の石段で、かつて馬に乗り参拝する人がいたため、通常の石段よりも大きな造りとなっています。石段を登ると、どっしりとした風格の拝殿と本殿が現れます。
拝殿は平成18年の屋根修復事業の際、天明7年(1787年)の墨書が発見され、この年以前の建築であることが判明しました。また、当時の建築部材より古い木材が主要部分に使われていることから、拝殿の創立年代は天明7年をさらに遡ると考えられています。山形県独自の建築様式である唐破風(からはふ)と千鳥破風(ちどりはふ)を萱で葺くスタイルを採用し、その中でも最も古いものです。
休憩スポット
探し疲れたら、境内にある「icho cafe」で休憩しましょう。メニューは地元の素材を使った逸品揃いで、静かで優しい雰囲気のカフェで最高のティータイムを楽しむことができます。
縁結び祈願祭
毎月一度、満月の夜に開催される縁結び祈願祭「月結び」では、満月の光と三羽のうさぎに導かれてご縁が結ばれるように特別な祈願が行われます。参列者限定のお守り「たまゆら守」は、月ごとに色が変わる可愛らしい形のお守りです。月結び限定の御朱印もありますので、御朱印帳を忘れずに持参しましょう。
また、6月から9月の間に月一回開催される縁結び祈願祭「かなで」もおすすめです。風鈴の音色に願いを込めて縁結び祈願を行います。この期間中は、神事参加者の願いが込められた風鈴が飾られ、境内に涼やかな音色が響き渡ります。
歴史
熊野大社は山形県南陽市に位置する神社で、旧社格は県社です。正式名称は「熊野神社」ですが、一般的には「熊野大社」として知られています。主祭神は伊弉諾命、伊弉冉命で、全国の熊野神社もこの三神を祀っています。
社伝によれば、大同元年(806年)に平城天皇の勅命により紀伊国熊野権現の勧請を受けて再興されたとされています。平安時代末期の平維盛によって創建されたという説もあります。後白河天皇が即位の際に天下泰平の祈祷を命じたことで勅願所となり、歴代の領主である伊達氏や上杉氏の崇敬を受けてきました。
明治5年(1872年)に郷社に列し、大正6年(1917年)には県社となりました。神仏習合の時代には熊野三山と同じ証誠寺の寺号を称し、熊野修験の一大霊場として栄えました。
境内の30柱の神様
熊野大社の境内には、30柱の神様を祀るお社や考古館、授与所など、様々な施設があります。
本殿
御祭神:熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)。
本地仏:観音菩薩。
神代の時代、最初に伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と結婚され、あらゆる命を生み出されました。夫須美は産霊の意味で、あらゆる物を生み出す力を表わします。
二宮神社
御祭神:熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)。
本地仏:薬師如来。
神代の時代に最初に伊弉冉尊と結婚された神様。速は勢いのある様、玉は魂の意味を表し、生き生きとした魂、生命を表します。
三宮神社
御祭神:熊野家津御子大神(くまのけつみこのおおかみ)、素盞鳴尊(すさのおのみこと)。
本地仏:阿弥陀如来。
熊野夫須美大神と熊野速玉大神との間に生まれた神様。ケは食料の意味で、人間生活で最も大事な食料を司る神様です。
八幡神社
御祭神:応神天皇(おうじんてんのう)。
戌・亥年の守り神で、八幡神は源氏に信仰された戦いの神です。源義家公にも厚く尊崇されました。武芸上達、武門の神として崇敬されましたが、現在ではスポーツなどの必勝祈願の神様として信仰されています。慶長3(1598)年に尾崎重誉が信州からお遷ししました。
保呂羽神社
御祭神:大名持神(おおなもちのかみ)。
国土を開拓し、国造りをなされた神様で、大国主神として有名。豊富な知識を持ち、特に医療、医学に詳しい神様としてお祀りしています。慶長3(1598)年に色部光長が造営しました。
愛宕神社
御祭神:火産霊神(ほむすびのかみ)。
火伏せ・防火に霊験のある神様としてお祀りされています。3歳までに参拝すると一生火事に遭わないともいわれています。
羽黒神社
御祭神:稲倉魂命(うかのみたまのみこと)。
ウカは穀物・食物の意味で、穀物の神様としてお祀りしています。五穀の起源の神様としてもお祀りしています。
菅原神社
御祭神:菅原道真公(すがわらのみちざねこう)。
文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、卯年の守り神。優れた学問を持ち、天神様、天満宮様と呼ばれ、学問の神として多くの信仰を集めています。慶長3(1598)年に尾崎重誉が信州からお遷ししました。
融通神社
御祭神:角杙神(つのぐいのかみ)。
普賢菩薩(ふげんぼさつ)、辰・巳年の守り神。土から生命がきざして杙のようになった神様。自然の生成力への感動を表現した神様で、自然と土への感謝の神様としてお祀りしています。
雷神神社
御祭神:火雷神(ほのいかづちのかみ)。
雷神様としてお祀りしています。雷を司る神様として電気関係者に信仰されています。
千手堂
御祭神:国常立神(くにのとこたちのかみ)。
千手観音(せんじゅかんのん)、子年の守り神。国が永久に立ち続けるとの意味で、国土の安定を支える神様としてお祀りしています。
稲荷神社
御祭神:宇迦之御魂大神(うがのみたまのおおかみ)。
稲荷大明神として親しまれ、穀物・農業の神ですが、広く産業全般の神、特に商売繁盛の神様として信仰されています。
皇大神杜
御祭神:天照大御神(あまてらすおおみかみ)。
御皇室の御祖神であり、日本国民の総氏神です。慶長3(1598)年に尾崎重誉が信州からお遷ししました。
厳島神社
御祭神:市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。
弁財天としてもお祀りされ、水の災難から守る神様、財運の神様です。
白山神社
御祭神:菊理姫神(くくりひめのかみ)。
伊弉冉尊(いざなみのみこと)と伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の口論を収めた神様で、縁結びの神様としてお祀りされています。
義家神社
御祭神:源義家公(みなもとのよしいえこう)。
勝負の神様としてお祀りされています。建長2(1250)年に長井泰秀が造営しました。
景政神社
御祭神:鎌倉権五郎景政公(かまくらごんごろうかげまさこう)。
悪霊・邪気を祓う神様としてお祀りされています。建長2(1250)年に長井泰秀が造営しました。
和光神社
御祭神:豊斟渟神(とよくぬのかみ)。
虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)、丑・寅年の守り神。国土の形成を支えた神様としてお祀りされています。慶長3(1598)年に尾崎重誉が信州からお遷ししました。
招魂社
御祭神:護国の英霊。
南陽市、高畠町、川西町の英霊をお祀りしています。御社殿は明応7(1498)年に造営され、そのままの姿を伝えています。
月山神社
御祭神:月読命(つきよみのみこと)。
農業の神様として信仰されています。
湯殿山神杜
御祭神:少彦名命(すくなひこのみこと)。
医学の祖とされ、知恵の神様として信仰されています。
大社神社
御祭神:大地主神(おおとこぬしのかみ)。
土地を領有する地主神、五穀豊穣をもたらす神様です。
幸神社
御祭神:猿田彦神(さるたひこのかみ)。
道案内、交通安全の神様としてお祀りしています。例年、8月10日に四万八千日祭を斉行しています。
山神社
御祭神:大山祇神(おおやまずみのかみ)。
山、森林の神様として信仰されています。
青麻神社
御祭神:天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)。
中風病の退除に御利益のある神様としてお祀りされています。
大宮子易神社
御祭神:木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと
境内の施設
拝殿:平成18年に屋根修復事業が行われ、天明7年(1787年)の墨書が発見されました。
幣殿:昭和60年に造営され、伊勢神宮の内宮にある神楽殿と同じ造りになっています。
祈祷殿:参拝者がご祈祷をするための祈祷殿です。
神楽殿:夏祭りの稚児舞が奉納される舞台です。
授与所:御札や御守、御朱印を頒布しています。
鐘楼:寛永3年(1626年)に寄進された大梵鐘です。
考古館:熊野大社が所蔵する文化財が展示されています。
お御坂:46段の石段で、かつては馬に乗り参拝する方もいました。
手水舎:参拝の前に手を洗い、口をすすぐ場所です。
大銀杏:源義家が必勝を誓願した際に植えたと伝えられる銀杏の木です。