歴史と由来
冷や汁は、上杉氏が治めていた米沢藩の陣中食として始まり、合戦の出陣式で武将たちに振る舞われたと伝えられています。
また、正月料理としても親しまれ、正月には野菜に雪菜を使うことがよくあります。主材料の名前を冷や汁の名前に取り入れることもあり、「雪菜の冷や汁」などと呼ばれることもあります。
古くは贅沢な食べ物として庶民には手が届かないものでしたが、冠婚葬祭に欠かせない料理として広まり、今では家庭料理としても親しまれています。各家庭で味付けや食材の組み合わせが異なり、豊富なバリエーションがあります。
作り方
干し貝柱を一晩水につけて繊維に沿ってほぐします。
凍みこんにゃくを湯で戻し、干ししいたけを水で戻して千切りにします。
出汁(干し貝柱や干し椎茸の戻し汁)にしょうゆ、みりんを入れ、切った具材をさっと煮て汁ごと冷まします。
季節の野菜は茹でて食べやすい大きさに切り、冷ましておいた汁をかけて和えます。
・雪菜は、雪が降る前に一度収穫し、稲わらと土で覆い、降り積もった雪の中で花茎を成長させる米沢の伝統野菜です。シャキッとした歯ごたえとツンと抜ける辛みが特徴です。
・凍みこんにゃくは、こんにゃくを冷凍し乾燥させた郷土食材で、くにゅくにゅした食感が魅力です。手に入りにくいため、自宅で作るときは凍み豆腐を使うこともあります。
冷や汁とは
冷や汁(ひやしる、ひやじる、冷汁)は、出汁と味噌で味を付けた冷たい汁物料理で、主に夏場に食べられます。宮崎県など日本各地の郷土料理として知られ、同じ名前で内容が異なる料理や別名で類似した料理も存在します。
この料理の起源は古く、鎌倉時代の『鎌倉管領家記録』に「冷汁」という記述が見られます。江戸時代には、料理書『料理物語』で紹介され、全国に広がりました。
具材としてはモズク、海苔、栗、ショウガ、ミョウガ、蒲鉾、あさつきなどが使われ、味噌汁の一種として親しまれています。