温泉の歴史
あつみ温泉は、山形県南端部を流れる温海川沿いに湧出していた温泉ですが、近年は掘削した井戸からポンプアップして温泉水を得ています。温泉名の「温海」は、温泉水が温海川を通して海へと流れ込み、その海を温めていたことから名付けられました。
あつみ温泉の開湯は821年、弘法大師が発見したと伝えられています。また、ツルが傷ついた脛を浸していたところを樵が発見したという伝承もあります。温海川の川底から湧出した温泉が河口に流れ、日本海を温めていたため「温海」と命名されました。鎌倉時代後期には湯治場が形成されていたとされています。
江戸時代には庄内藩の藩主・酒井忠勝の時代から湯役所が設けられ、次第に宿屋が並び温泉地として発展しました。18世紀中盤に始まった湯治客のための朝市は、冬期を除いて現在も続いています。また、与謝野晶子、横光利一、斎藤茂吉などの文人墨客が訪れた場所でもあります。
泉質
あつみ温泉の源泉井は標高22mから32mの温海川沿いにあり、3つの源泉井を使用して集中管理の下で各温泉施設へ給湯を行っています。源泉井での温度は51.5℃から72.9℃、pHは7.5から8.3と異なり、泉質も泉源によって異なります。
あつみ温泉の湯は、含食塩石膏硫化水素泉で、源泉温度は約60度と高温です。浴場の湯もやや熱めで、切傷や火傷に効果が高いとされています。
街歩きもおすすめ
温海川沿いに栄えた自然溢れるあつみ温泉では、川沿いに植えられた約300本の桜が咲き、夜にはライトアップも行われます。足湯に浸かりながらのお花見も楽しめます。初夏には鮎釣り、秋には鮭の遡上を見ることができ、四季折々の温海川を楽しむことができます。
温泉街には共同浴場、足湯、飲泉所、温泉神社、ばら園などの立ち寄りスポットがあります。足湯カフェや川沿いのウッドデッキなど休憩スポットも充実しているので、街歩きに疲れた場合も安心です。
大清水公園
庄内藩の藩主が湯治に来た際に飲んだ「御清水」と呼ばれる湧水があり、ポケットパークとして整備されています。
260年の歴史を持つ朝市
あつみ温泉名物の朝市は、260年の歴史を誇ります。地元の旬な食材や特産が並び、特に赤かぶが有名です。早起きして朝市を散策するのがおすすめです。
あつみ温泉ばら園
温泉街の高台に位置し、90種約3000本のバラが例年6月から10月まで咲きます。6月には「あつみ温泉ばら園まつり」が開催され、多くのイベントが行われます。2012年には酒井家ゆかりの「殿様のばら」が移植され、2022年には再び植樹されました。
名物
元禄餅
砂糖、白玉粉、抹茶などを原料にした柔らかな餅菓子です。
栃餅
栃の実で作った餅にこしあんを包んだ大福餅です。
あつみかぶ漬け
温海町の特産品である赤いカブを食塩、砂糖、酢で漬けた漬物です。