月山は山形県中央部、出羽丘陵の南部に位置する標高1,984mの火山で、現在は噴火活動はありません。山域は磐梯朝日国立公園の特別区域に指定され、日本百名山、新日本百名山、花の百名山、新・花の百名山に選ばれています。また、月山山麓湧水群は名水百選、月山行人清水の森は水源の森百選に選定されています。
月山は標高1,500mの湯殿山、標高418mの羽黒山とともに出羽三山の一つに数えられ、修験者の山岳信仰の対象となっています。山頂には月山神社が鎮座し、多くの修験者や参拝者が訪れます。開山者は蜂子皇子と伝えられ、古くは「犂牛山(くろうしのやま)」と呼ばれていました。
月山の姿は山形盆地、庄内平野、最上地方からよく見え、天候が良ければ置賜地方からも望めます。豊富な残雪のため、国内では乗鞍岳や立山と共に夏スキーが可能な山としても知られています。また、山形県のスポーツ県民歌にも登場し、県を代表する親しまれている山です。
月山の火山活動は約70万年前に始まり、最後の噴火は約30万年前でした。東側斜面には弥陀ヶ原などの湿原が点在し、比較的なだらかな地形が広がっています。対して北西側斜面には長径2.5kmの馬蹄型カルデラがあり、急峻な姿を見せています。月山のなだらかな山容は楯状火山のイメージを持たれがちですが、成層火山の特徴を持つことがわかっています。
南西麓では硬い火山岩の上に深さ約100メートルの軟らかい火山噴出物が堆積しており、地表近くを大量の雪解け水が流れるため、地滑りを誘発しやすい地形です。国土交通省の調査により広範囲な地滑りが起きる可能性があり、地盤の動きを止める工事が行われています。
月山山頂一帯のなだらかな地形部には、過去にアイスキャップ(氷帽氷河)が存在していた可能性が指摘されています。四ツ谷川上流にある牛首カールのU字谷地形や底堆石層の露頭がその証拠とされています。松尾芭蕉の『奥の細道』にも夏季に多量の残雪があった記録が残されています。
月山には万年雪や梅雨時の大量の雪解け水が火山噴出物に浸透し、山麓の広葉樹林帯が水源林の役割を果たしています。これにより、滞留時間400年とも言われる天然のダムが形成され、多くの湧水が生まれています。これらの湧水は上水道灌漑用水の水源となっており、山形県立自然博物園で月山の自然や湧水の見学が可能です。
月山では、高層湿原や高山植物、亜高山帯針葉樹林などの特殊な植物が多く見られます。スイレン科のオゼコウホネやキク科のウサギギクなどの高山性植物が自生しており、オコジョやイワヒバリなどの珍しい動物も確認されています。これらの自然環境は天然記念物として保護されています。
山頂にある神社で、多くの参拝者が訪れます。
月山の自然や湧水を見学できる場所です。
月山の副峰姥ヶ岳にあるスキー場です。冬季は閉鎖されますが、4月上旬にオープンし、7月末頃まで夏スキーが楽しめます。冬季はリフトの運転がありませんが、スノーモービルやクロスカントリースキーが楽しめます。
観光客に人気の道の駅です。
姥沢バス停 → 月山ペアリフト → 姥ガ岳 → 牛首 → 月山神社 → 山頂 → 仏生池 → 月山八合目バス停
月山ペアリフトのリフト下駅からリフトに乗り、距離1km、標高差約300mを登ってリフト上駅へ向かいます。リフトを使用しない場合は、姥沢小屋の分岐で右に向かい、リフト分岐まで1時間25分かかります。