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冷やしラーメン(山形県)

(ひやし)

そば屋の作った清涼感たっぷりのラーメン

山形県は”米沢牛”や”さくらんぼ”などで全国的に知られていますが、ラーメンの消費量でも全国トップクラスです。その山形のラーメン文化の中で、特に珍しいのが“冷やしラーメン”です。

冷やしラーメン(一部店舗では「冷たいラーメン」とも呼ばれる)は、通常の温かい醤油ラーメンを冷たくしたものではありません。その独特の美味しさは、実際に食べてみて初めて分かります。冷しらーめんは通年で提供されており、特に夏の暑い日にぴったりの一品です。

山形ラーメンは醤油味が主流であり、冷やしラーメンもほとんどが醤油味です。スープは鰹節や昆布を使った透明な醤油ダシが特徴です。山形の蕎麦店やラーメン店でも各店独自の冷たいラーメンを楽しむことができます。お土産用のスープも販売されているので、家でも美味しい味を楽しめます。

冷やしラーメンの誕生

冷やしラーメンは、1952年(昭和27年)に「栄屋本店」で考案されました。暑い夏でもラーメンが食べたいという常連客の要望を受けて、そば屋だった「栄屋本店」が開発しました。

山形市は盆地に位置しており、1933年7月には気温40.8度を記録し、長らく日本最高記録を保持していました。厳しい夏の暑さのため、温かいラーメンの需要は減少します。そこで、冷たい蕎麦からの発想でラーメンも冷たくするアイデアが生まれました。

スープは牛、かつお節、昆布をベースに、ごま油の風味を加えた伝統の味。冷水で締められたコシの強い太麺と氷が浮かぶスープが、暑い山形の夏にぴったりです。

栄屋本店の冷やしラーメン

「栄屋本店」は、平日のお昼には長蛇の列ができるほどの人気店です。特に、山形の夏に開催される「花笠まつり」の期間中には1日に700人ものお客さんが訪れることもあります。

冷やしラーメンの開発者、初代店主の阿部専四郎さんは、13歳の頃から山形の老舗そば屋で修行を積み、1932年に「栄屋本店」を開業しました。戦後、ラーメンの提供を始めてから、常連客の「山形の夏は暑いので冷たいラーメンが食べたい」という声に応えて冷やしラーメンを開発しました。

スープを冷やすだけでは脂が浮いてしまうという問題に直面し、試行錯誤の末、1年かけて「脂がかたまらない」スープを完成させました。1952年、日本で初めて「冷やしラーメン」が誕生しました。

完成したスープは、醤油だれ、水、鰹と昆布のだし汁を合わせ、ごま油の風味が程よく効いたあっさりながらもコクのある味わいです。地元の山形産野菜がトッピングされ、特にキュウリやもやしは冷たいスープとの相性が抜群です。特別に配合されたオリジナルの太麺を使用し、スープと絡みやすいように製造されています。麺の茹で方にも工夫があり、7分間茹でた後、手で硬さを慎重に見極めます。

栄屋本店では、代々基本の味を守りながらも少しずつ進化させています。現在は、スープにごま油と白絞油をブレンドし、だし汁には昆布を使用しています。

「冷しらーめん」の美味しさは口コミで広がり、全国的に知られるようになりました。栄屋本店では、著名人の色紙も多く飾られ、多くの人に愛されています。

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冷やしラーメン(山形県)
(ひやし)

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