開館と立地
斎藤茂吉記念館は1968年(昭和43年)に山形県上山市金瓶の南の丘に開館しました。この場所は東に蔵王連峰を仰ぎ、最上川支流の須川のほとりに位置します。明治天皇が東北巡幸の際に小休所としたことから「みゆき公園」と呼ばれ、春には桜の名所として賑わいます。
建築とリニューアル
記念館は東京国立近代美術館など多くの美術館や劇場を手がけた建築家、谷口吉郎の設計によって建てられました。1989年(平成1年)には、谷口吉郎の子息である谷口吉生の設計で大規模な増築・改修が行われました。2018年には館内展示を大幅に更新し、バリアフリー対応が進められました。
展示内容
館内では、斎藤茂吉の業績や生活を伝える資料が収蔵・展示されています。常設展示室には茂吉の自筆の書画や原稿、遺品などが展示され、「茂吉の生涯」「茂吉の作歌姿勢」「医学者茂吉」などのテーマに沿って紹介されています。映像展示室では、茂吉の全生涯を概観できる映像が定時上映されています。
記念室と居室
守谷夫妻記念室は、茂吉の甥である守谷誠二郎とその妻ふみを顕彰するための記念室です。茂吉晩年の居室や茂吉とその家族たちに関する展示も通年行われています。また、館内ロビーには茂吉の肉声による短歌朗詠が聴ける装置が設置されています。
歴史的背景
みゆき公園には、明治天皇が東北巡幸の際に休憩された環翠亭が復元されており、茂吉が足を運んで作歌に勤しんだことが伝えられています。園内には茂吉の他、伊藤左千夫、島木赤彦の歌碑も建てられています。
斎藤茂吉記念館は、短歌史上重要な位置を占める歌人であり、精神科医でもあった斎藤茂吉の業績を後世に伝える施設となっています。