山形花笠まつり(やまがたはながさまつり)は、東北四大祭りの一つであり、山形を代表する夏祭りです。毎年8月5日、6日、7日の3日間にわたって開催され、市内の目抜き通りを多くの踊り手たちが花笠音頭に合わせて踊りながらパレードします。「ヤッショ、マカショ」の掛け声と勇壮な花笠太鼓が祭りを一層盛り上げます。
「花笠(はながさ)」という名前の通り、県の花でもある「紅花」をあしらった花飾りがついた笠は、踊り手たちの必需品です。艶やかな衣装に身を包んだ大集団が一斉に踊る姿は圧巻であり、花笠がダイナミックにうねる様子は観客を興奮させます。
花笠踊りには多くの種類があります。例えば、優雅で華麗に踊る「正調花笠踊り ~薫風最上川~」(通称・女踊り)や、自然の恵みへの感謝を表す勇壮な「正調花笠踊り ~蔵王暁光~」(通称・男踊り)があります。また、花笠発祥の地とされる尾花沢で主に踊られるダイナミックな「笠回し」系踊りや、その他の創作花笠踊りも一度に楽しむことができます。
花笠まつりで歌われる「花笠音頭」の起源には諸説ありますが、大正中期に尾花沢で土木作業時の調子合わせに歌われた土搗唄が起源とされています。昭和初期にこの唄が民謡化され「花笠音頭」となりました。1963年(昭和38年)にはパレード用に振り付けられ、蔵王夏祭りとして始まりました。しかし、「博多祝い唄」と共通する歌い出しの歌詞があることから、江戸時代の伊勢参りの際に伝わった伊勢の囃子音頭に起源を持つ可能性も考えられています。
花笠まつりの振り付けは、山形県内だけでも約10種類あります。誰でも手軽に踊れるようにと、「正調花笠踊り〜薫風最上川〜」が制定されました。1999年(平成11年)には、豪快な動作が特徴の「正調花笠踊り -蔵王山暁光-」が制定され、男性の踊り手の増加に寄与しました。一方、尾花沢では豪快に花笠を振り回す「笠回し系花笠踊り」が行われており、これには5つの流派があります。
山形市で開催される花笠まつりは「山形花笠まつり」と呼ばれます。例年8月5日、6日、7日の3日間にわたり、文翔館正面から南西方向に伸びる県道19号山形山寺線および国道112号(七日町商店街ほか)でパレードが行われます。
元々、山形市の伝統行事は山形藩初代藩主である最上義光を祭る義光祭でした。しかし、1963年(昭和38年)に「蔵王夏まつり」の一環として「花笠音頭パレード」が始まりました。その後、1965年(昭和40年)から「山形花笠まつり」として独立し、現在に至ります。
1970年の大阪万博では、日本の祭りとしてトップで出演し、1972年にはフランスのニースのカーニバル、1974年にはスペインのヘレス・デ・フロンテラ市のワイン祭り、1979年にはスイス・ジュネーブまつりにも招聘されました。
服部敬雄の影響下でのマスコミやバス会社の努力により、花笠まつりは全国的に知名度を上げました。しかし、山形新聞や山形交通グループが祭りに関する諸権利をほぼ独占しているため、観光客が地元商店街に落とす金がほとんど吸い上げられるとの批判もあります。
祭り期間中には歌手がゲストとして呼ばれ、山車行列が行われます。また、団体によっては小学生以下の少女が厚化粧で参加することもあります。さらに、JR山形駅では「花笠音頭」が発車メロディとして採用されています。