庭園
建物の北面にある日本庭園は、松・つつじ・いちいなどの樹木があり、池には草魚が生息しています。作家の井伏鱒二が当館を訪れた際、60年にもなる鯉を見て『還暦の鯉』という短編を書きました。
建物
山形県置賜地方(川西町)から移り住んだ主人が住んでいた家をそのまま美術館として解放しています。母屋は大正時代の建築で、廊下は桂の木、柱や建具などは杉の木がふんだんに使用された古民家です。
主な展示品
製糸業を経営していた長谷川謙三が趣味で収集した美術工芸品のコレクションです。日本刀や中国の明・清時代の漆工芸品など約4,000点を収蔵・展示しています。長谷川謙三が十代のころから撮影していた写真や映像、民芸品なども展示されています。
堆朱館
堆朱(ついしゅ)館では、重要文化財に指定されている徳川慶喜が遺愛した中国明の時代の漆工芸品『堆朱印箪笥』などを所蔵しています。漆に朱や弁柄を混ぜて朱色にしたものが堆朱、漆を厚く塗り固めて彫刻で模様を施したものが彫漆です。
刀剣館
日本刀は砂鉄を精製し鍛錬して作り上げた鉄と炎の芸術品です。鎌倉時代から幕末までの大小の刀と小道具が展示されています。
文化財
重要文化財(国指定)
楼閣人物填漆箪笥(中国・明時代初期)
登録有形文化財(国登録)
展示館、旧長谷川家住宅主屋、旧長谷川家住宅東土蔵、旧長谷川家住宅南土蔵
主屋
敷地中央に建つ木造二階建の建物で、建築面積は274㎡です。入母屋造スレート葺の屋根を持ち、西面に玄関、南面に台所を突出させています。伝統的な和風住宅のつくりを基本にしながらも、高い建ちと周囲の廊下にガラス戸を用いて開放的な雰囲気を持つ近代的な大型住宅です。
建設時期:大正時代(1919~1926年)
東土蔵
敷地の東側に建ち、主屋と廊下で繋がっています。桁行9.4m、梁間5.6mの土蔵造二階建で、切妻造妻入瓦葺の主体部の北妻に展示室玄関、西面に和室展示室を張り出しています。外部は腰を洗出し仕上げとして南妻に鉄扉を設け、重厚な外観が敷地の景観を引き締めています。
建設時期:大正時代(1919~1926年)
南土蔵
敷地南側に建ち、桁行9.5m、梁間4.7mの土蔵造二階建です。切妻造で置屋根式鉄板葺の屋根を持ち、1階は北面に出入口と庇を設け、その他にも開口部を三ヶ所設けています。外部は漆喰塗で、開口部の枠は掛子塗で丁寧に仕上げられ、東面を簓子下見板張としています。
建設時期:大正時代(1919~1926年)