教育資料館は、明治34年(1901年)に建築された「旧山形師範学校本館」(国指定重要文化財)を活用し、昭和55年(1980年)に開設されました。この資料館では、"教育県山形"の教育の歩みを展示する施設として、教育に特化したユニークな展示活動を続けています。
教育資料館の建物は、明治34年(1901年)に建築された旧山形師範学校本館で、国の重要文化財に指定されています。ルネサンス様式を基調とした木造瓦葺きの二階建てで、棟中央には塔屋がそびえ、左右対称形の端正なたたずまいを見せます。内部の天井や床の斜め板張りも特徴的で、美しさと構造強化の両方を兼ね備えています。
第1展示室:藩校と寺子屋
江戸時代の武士の子弟の教育機関「藩校」と、庶民の学校「寺子屋」、私塾の歴史を紹介し、寺子屋風景のジオラマを展示しています。
第2展示室:学校のはじまり
1872年の学制発布当時の山形県内の学校の状況や、明治初期小学校の建築模型を展示しています。全国に小学校が設立され、近代教育が始まった明治期の教育に関する展示です。
第3展示室:明治から大正へ
山形県内の師範学校や中学校、高等女学校などの歴史を紹介し、明治・大正期の教科書や服装を展示しています。明治期から大正期にかけての初等教育と中等教育の充実を紹介しています。
第4展示室:昭和初期の教育
昭和初期の自由教育や戦時体制下の教育の変遷を紹介し、授業風景のジオラマや訓練用足踏機を展示しています。昭和初期の小学校1年生の国語の授業風景を中心に、戦前の教育を展示しています。
第5展示室:戦時下の教育
戦時体制下の教育の様子や、戦時下の子どもたちの服装を展示しています。小学校が「国民学校」と改められた戦時下の教育、学童疎開や勤労奉仕などに関する展示です。
第6展示室:新しい教育
戦後の新しい教育制度や、墨塗り教科書などを展示しています。
第7展示室:教員養成のあゆみ
山形県内の教員養成の歴史を紹介し、山形県師範学校および女子師範学校・青年師範学校等の関係資料を展示しています。
旧山形師範学校は、明治11年(1878年)に山形市旅篭町で開設され、明治34年(1901年)に現在の山形市緑町に新築移転されました。その後、山形大学教育学部、山形北高等学校、そして山形県に移管され、今日に至っています。
この建物は木造2階建ての洋風建築で、左右を後ろへ「コ」の字形平面、正面中央に車寄せ玄関を設け、屋根の中央に櫛形、両端部に切妻形の飾破風を付けています。さらに、それらの間に丸形の屋根窓があり、棟の中央には塔屋があります。正面は片廊下式で、両翼には階段室を設け、1階には校長室・職員室・宿直室・教室、2階は中央を貴賓室・塔屋口とするほかは教室となっています。装飾や意匠には見どころが多く、明治中期の代表的な洋風学校建築です。
建物は木造桟瓦葺きの2階建てで、一階と二階の境に巡らせたコーニス(胴蛇腹)がルネッサンス様式の特徴を示しています。中央にそびえる塔屋は、明治11年に創設された旧校舎の時計塔の名残であり、左右対称の端正なたたずまいを見せます。正面中央の車寄せや、軒下の手の込んだ装飾も見どころです。中央の屋根は櫛形、両端には切妻形の飾破風があり、その間にドーマ(屋根窓)が設けられています。
内部の天井や床を斜め板張りにしている造りは、見た目の美しさだけでなく、筋交いの効果を持ち構造躯体の強化にも役立っています。このような工夫は、当時としては画期的な建築技術でした。外壁の下地に竪瓦型レンガを使用し、その上からモルタルを塗ることで、火災に強い耐火構造となっています。これらの特徴から、建築技術史的見地でも貴重な遺構とされています。
旧山形師範学校本館は、ルネッサンス様式を基調とし、外壁は竪瓦型レンガを下地として下見板張りに見せたモルタル塗りの耐火構造になっています。内部の天井や床を斜めの板張りにするなど、美的効果と構造強化を兼ね備えた設計が施されています。火災に強くするために外壁の下地には竪瓦型レンガを張り、その上からモルタルを塗っています。当時としては画期的な耐火構造的手法であり、建築技術史的見地からも貴重な遺構とされています。
教育資料館の建物は、1878年に山形市旅篭町に開校した山形県師範学校が、1901年に現在地に新築移転したものです。1949年には山形大学教育学部校舎となり、その後、県立山形北高等学校の校舎として使用されました。1971年には博物館の一部となり、1973年には国の重要文化財に指定されました。
明治11年(1878年): 山形市旅篭町に山形県師範学校開校
明治34年(1901年): 現在地に新築移転
昭和24年(1949年): 山形大学教育学部校舎となる
昭和38年(1963年): 山形大学移転のため、県立山形北高等学校の校舎となる
昭和46年(1971年): 校舎改築にともなって本館の正面部分以外を解体
昭和48年(1973年): 本館が国の重要文化財に指定される
昭和53年(1978年): 遺存部分の半解体修理(~1980年)
昭和55年(1980年): 門衛所および正門が国の重要文化財に追加指定され、山形県立博物館教育資料館として開館
平成6年(1994年): 展示パネル更新(~1996年)
平成20年(2008年): 経済産業省より近代化産業遺産に認定される