山形美術館は、山形市の中心地、霞城公園東大手門のそばに位置する美術館です。1964年に開館し、日本および東洋美術、郷土関係美術、そしてフランス近代絵画という3つの柱を中心に、充実したコレクションと常設展示が展開されています。
特に、フランス近代絵画に関しては、国内有数の規模と質を誇るコレクションを誇っており、印象派を中心とする珠玉の作品を鑑賞することができます。
山形銀行および殖産銀行(現:きらやか銀行)の経営に参画してきた長谷川家が、多年にわたって収集した美術品を係累から寄贈を受け展示しています。重要文化財の与謝蕪村「奥の細道図屏風」を含み、江戸時代の狩野派、文人画、円山四条派を系統的にたどることのできる内容となっています。
山形市出身の近代彫刻の先駆者の一人である新海竹太郎とその甥である新海竹蔵の作品が展示されています。新海竹太郎の代表作「ゆあみ」など、両者の足跡を概観することができます。
1991年に亡くなった服部敬雄の業績を讃え、フランス絵画60点とロダン、マイヨール、ブールデルの彫刻4点を服部コレクションと名づけ展示しています。ルオー、ピカソ、シャガールなどの作品が展示されています。
1981年春、山形県南陽市において、かつて操業していた吉野鉱山が社名の由来である吉野石膏が収集した美術品の寄託を受け展示しています。ミレー、ピサロ、マネ、ドガ、シスレー、セザンヌ、モネ、ルノワール、マティス、ヴラマンク、ピカソ、ブラック、シャガール、カンディンスキーなど、バルビゾン派、印象主義、キュビスム、抽象絵画、エコール・ド・パリの作品を見ることができます。
山形美術館は、当時の山形新聞・山形放送社長であった服部敬雄が中心となって設立され、1964年8月に開館しました。山形における美術館建設は、終戦直後の山形県美術家協会発足以来の念願であり、民間主導で県と市が協力する財団法人による運営となりました。
1968年には別館が開設され、その後1985年8月10日に新館がオープンしました。翌年10月には別館が改修され、現在の姿となりました。以降、日本および東洋美術、郷土関係美術にフランス美術を加えた3つの柱を中心に、調査・研究および作品収集を行っています。
2011年4月に公益財団法人に移行し、2014年には開館50周年を迎えました。美術館は、美術文化の振興と県民の生涯学習の一翼を担うべく、さまざまな企画展や巡回展、個人や団体による展示施設貸与事業などを行っています。