峯の浦エリア
山寺の奥地には、"裏山寺"とも呼ばれる「峯の浦」(みねのうら)というエリアがあります。1千年以上にわたり、僧侶や苦行者が瞑想と修行を行ってきた場所です。
ここは山寺を開山した慈覚大師円仁が山寺の構想を練った場所と言われています。峯の浦には「千手院」「烏帽子岩」「修験場」などのスポットがありますが、中でも特に注目すべきは「垂水遺跡」です。
この自然豊かな歴史的整地は散策路でつながっており、入口は千手院観音堂の境内近くと山寺霊園にあります。
垂水遺跡の魅力
垂水遺跡は、山道の入口から徒歩約15分の場所に位置する隠れスポットです。豊かな自然に囲まれた山道を進むと、蜂の巣状の巨大な岩肌と鳥居の造形美が目の前に現れます。
ここでは大正時代まで山伏が修行していた姿を見ることができました。岩の割れ目には不動明王が祀られ、修験跡や五輪塔窟などの遺跡も残る名所です。蜂の巣状の奇岩と木製の鳥居が神秘的な空気を放っています。
垂水遺跡には水の浸食によって形成された蜂の巣状の穴がたくさんある巨大な岩壁があります。中には古峯神社の鳥居と稲荷神社が立っており、崖の側面にある割れ目には不動明王が祀られています。
宝珠山 千手院
宝珠山 千手院は、慈覚大師が開山した場所で、松尾芭蕉の名句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」が詠まれた立石寺の麓にあります。ご本尊は慈覚大師の作とされる木造千手観世音菩薩立像ですが、現在は秘仏として安置されており、代わりに高さ約1メートルの金色の千手観音立像が拝観できます。
観音堂の裏山には、山寺開山草創期の「古山寺」を彷彿とさせる「垂水(不動明王を祀る)遺跡」、城岩七岩、峯の浦遺跡が展開しています。
城岩七岩と神道の広場
散策路をさらに進むと、城岩七岩と呼ばれる7つの岩が並んでいます。これらの岩は遠くから眺めると山城の様相をなしており、その先には特徴的な岩に囲まれた広場があります。この広場は神道の特別な祭事に使われていたと考えられています。
峯の浦の本院跡
山寺霊園の散策路の入口付近には、峯の浦の本院跡があります。本院には阿弥陀如来が祀られていました。本院はすでになくなっていますが、遺跡発掘により本院建造物の基礎、14世紀にまで遡る遺物、そして縄文時代(紀元前10,000~300年)の陶磁器の破片が見つかっています。