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山寺(立石寺)納経堂・開山堂

(やまでら りっしゃくじ のうきょうどう かいざんどう)

断崖絶壁に建つ赤いお堂

「山寺」の通称で知られる「宝珠山 立石寺」の断崖絶壁の頂上に建つ、山寺の歴史と信仰を象徴する重要な建物です。山寺参拝コースの終盤にあります。

納経堂

山寺の百丈岩と呼ばれる断崖絶壁の頂上の斜面に建てられています。奥の院妙法堂で写経された法華経を、奉納する建物といわれるため、この名で呼ばれています。小さな赤い建物は桁行1間、梁間1間、柱間5尺1寸の小堂で、岩盤上に直接八角柱を立てて建てられています。屋根は宝形造の銅板葺(もとは板葺)です。慶長4年(1599年)に建立されたと記録されており、山内で最も古い建物です。

山寺では、修行の一環として僧侶が経典を書き写します。この写経の工程は長く、最長で4年を要します。この作業が終わると、写経は円仁への奉納品として納経堂に納められます。山寺の最も象徴的な建築物の1つです。

開山堂

百丈岩の上に立つ開山堂は納経堂の隣にあり、立石寺を創建した慈覚大師 円仁(794~864年)を祀るお堂です。崖下にある自然窟には、円仁の遺骸が金棺に納められて埋葬されています。御堂には円仁の木造尊像が安置されており、朝夕には食事と香が供えられています。普段は扉の閉じられた御堂ですが、大師の命日にあたる1月14日には、慰霊祭が行われ、御開帳されます。開山堂は1800年代中期に建てられたものです。

山寺の歴史

山寺の正式名称は宝珠山 立石寺で、貞観2年(860年)に清和天皇の勅願により慈覚大師 円仁が開いた天台宗の寺院です。山寺は、京都と滋賀にまたがる比叡山延暦寺の分院として位置づけられています。円仁は、中国から日本へ天台宗を伝えた第3代天台座主で、天皇の命により仏教を広めるため、北部日本の辺境を旅しました。

俳聖・松尾芭蕉が名句を詠んだことで有名な天空の古刹です。山全体が修行と信仰の場であり、神聖な宝珠山の森の傾斜部に建立されています。登山口から杉木立を縫うように大仏殿のある奥之院まで1015段もの石段の道のりには、奇岩怪石や歴史あるお堂、絶佳の景観が広がります。

この石段は、登ることで煩悩が消滅すると言われる修行の石段です。山寺は、複数の御堂が集まる集合体で、ここまでの道のりはサムサラ(永遠の再生;輪廻)を追体験するものとされています。寺の境内正門に位置する山門で、訪れた人々は徐々に「来世」に入ります。山を登りながら、参拝者は清められていきます。上で瞑想と祈願を終えると、参拝者は下山を始め、仏陀の教えと共に新たに生まれます。

奥之院まで1時間ほどの道のりで、普段の服装や靴で問題なく登ることができます。芭蕉は「閑さや岩にしみ入る蝉の声」という句を『おくのほそ道』に残しています。

宝珠山麓

立石寺の入り口は山寺駅から少し歩いたところにあります。最初に到着するのが山寺の総本堂である根本中堂です。ここには医薬の仏である薬師如来立像が安置されており、慈覚大師円仁が自ら彫ったとされています。また、延暦寺から持ち帰った法灯もここにあります。この法灯は1,200年以上にわたり、消えることなく燃え続けています。

根本中堂を過ぎると、俳諧師・松尾芭蕉(1644~1694年)の像と彼の有名な蝉の俳句が刻まれた俳句碑があります。芭蕉は立石寺の閑静さに触発され、蝉の俳句を詠みました。この俳句は『おくのほそ道』に含まれています。

閑さや(なんという閑さか)
岩にしみ入る(蝉の声が)
蝉の声(岩にしみ入っていく)

宝珠山を登る

山道は提灯が並ぶ道を進み、各種像やそびえ立つ木々を過ぎ、宝物殿、念仏堂、日枝神社を通り過ぎた後、姥堂に到達します。そこから上の極楽とそこから下の地獄の境にある象徴的な門です。姥堂には、生前の世界と死後の世界を隔てる三途の川の河原で死人の服をはぎ取る怖い老婆・奪衣婆の色鮮やかな像が納められています。姥堂ではかつて、参拝者たちが心身を清め、奪衣婆に自らの着物を奉納し、登山を続ける前に新しい着物に着替えていました。これは、参拝者の世俗的欲望や汚れを流すという象徴的な習慣でした。参拝者はここで心身を清め、登山を続けます。

さらに登ると、せみ塚の石碑の近くに弥陀洞があります。この岩は風雨によって自然に削られ、阿弥陀如来を彷彿させる形状となりました。阿弥陀如来の姿に見える人には、ご利益があると言われています。山の中間地点に仁王門があり、悪いものが入らないように両脇に金剛力士像が立っています。その先には、性相院、金乗院、中性院、華蔵院の4つの寺があります。

極楽の象徴

立石寺の最上部は、極楽を表しています。教えの実践者が転生に備えて仏教の教えについて瞑想します。この遊歩道は分岐していて、うち1つは、最も奥にある奥の院(納経堂と大仏殿)につながっています。納経堂には歴史的な仏である釈迦牟尼と、豊富な宝の仏である多宝如来の像が祀られています。これらの像は、僧侶円仁が中国で仏教を学んだ後に、中国から持ち帰ったと言われています。隣の大仏殿の中には高さ4.8メートルの金仏像、阿弥陀如来像が納められています。

もう一方の遊歩道は、慈覚大師円仁を祀る開山堂につながっています。その中には、創建者の木造の像が安置されており、僧侶が、朝晩、食べ物を供えています。断崖絶壁に露出している赤い小さな建物が、納経堂です。納経堂は、修行中の僧侶が書き写した経典を納めるための場所です。狭い階段は、開山堂の上の絶壁に建てられた五大堂に続いています。五大堂からは、立石寺と眼下の渓谷を、一望することができます。

Information

名称
山寺(立石寺)納経堂・開山堂
(やまでら りっしゃくじ のうきょうどう かいざんどう)
リンク
公式サイト
住所
山形県山形市山寺4456-1
電話番号
023-695-2002
営業時間

8:00~17:00

料金

入山料(山門 奥之院)
大人 300円
中人(中学生)200円
小人(四歳児以上)100円

宝物殿
大人(高校生以上)200円
小人(四歳児以上)100円

根本中堂内陣参拝
200円

駐車場
周辺有料駐車場を利用
アクセス

JR山寺駅より登山口まで徒歩5分

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