加勢鳥の由来と歴史
加勢鳥は、五穀豊穣や家運隆盛をもたらす歳神様の来訪行事で、小正月に遠方からやってくる神の声で一年の豊かさを祝う信仰から生まれました。加勢鳥には「御前加勢」と「町方加勢」の2種類があります。
御前加勢
御前加勢は寛永年間に始まり、毎年旧正月の13日に上山城に昇段を許された高野村の若衆三人が御前で加勢鳥を披露します。御殿では新しい手桶と杓で加勢鳥に水をかけ、酒と銭一貫文でねぎらいました。
町方加勢
町方加勢は15日に行われ、周辺部の各村から集まった若衆が商家の連なる町中を巡ります。迎える町の若衆は裸になり、手桶の水をかけ合い、町人たちは火伏せや商売繁盛を祈願してご祝儀を出し、酒や切り餅を振る舞いました。
加勢鳥の復活
明治時代に廃止された加勢鳥は、昭和34年に有志によって復活しました。昭和61年には上山市民俗行事「加勢鳥」保存会が結成され、この貴重な民俗行事が継承されています。
加勢鳥の楽しみ方
手ぬぐいやタオルを巻く
ケンダイ頭部に新しい手ぬぐいやタオルを巻いて、一年の家内安全、商売繁盛、火の用心、五穀豊穣を願います。
祝い水をかける
江戸時代の大火の際、火喰い鳥が空を舞い類焼させたように見えたことから、鳥に水をかける加勢鳥には火伏せの意味があります。また、水にあやかって水商売の繁盛を願う行事としても大切にされています。
加勢鳥の藁
神の化身である加勢鳥。そのケンダイから抜け落ちた藁は縁起物とされ、女児の髪を結うと黒髪の豊かな美人になると言われています。
カセ鳥(加勢鳥)の祭り
カセ鳥(かせどり・加勢鳥)は山形県上山市で毎年2月11日に開催される旧暦小正月の祭事です。名称は「稼ぎ鳥」または「火勢鳥」に由来し、商売繁盛や火伏せを祈願します。
祭りでは、藁蓑を身にまとった若者たちが「カセ鳥」に扮し、上山城前の焚き火を囲んで「カッカッカーのカッカッカー」と歌いながら踊り回ります。町の住民たちは踊るカセ鳥に冷水を勢いよく浴びせ、真冬の北国で冷水を浴びながら踊り続けるカセ鳥は町中を巡ります。踊り終えたカセ鳥たちは住民から酒や祝儀を振舞われ、頭に手拭を巻かれることもあります。
上山市でのこの行事は1896年以降途絶えていましたが、1959年に再現され、1986年には『上山市民俗行事「加勢鳥」保存会』が結成されました。
カセ鳥の歌
カッカッカーのカッカッカー
カッカッカーのカッカッカー
望の年の祝いは
カセ鳥、カセ鳥、お祝いだ
カッカッカーのカッカッカー
カッカッカーのカッカッカー
五穀豊穣、火の用心
五穀豊穣、火の用心
カッカッカーのカッカッカー
カッカッカーのカッカッカー
カセ鳥、カセ鳥、お祝いだ
商売繁盛、万作だ
商売繁盛、万作だ